こんにちは🌼
台東区 蔵前 にあります、就労移行支援事業所ありがとう です!
今回は、読書ノートです。
話題の本や、面白い本、皆さんと一緒に読みたい本など共有します。
第1回の今回は「嫌われる勇気」(ダイアモンド社刊)です。(仲間外れを勧めているわけではありません。)この本は2013年にはベストセラーになりました。著者は岸見一郎氏、古賀史健氏。このお二人によるアルフレッド・アドラーの紹介の本です。アドラーとは、フロイトから離れ、悩む人の過去を詮索するのではなく今後どうするかを考えるという立場(個人心理学)に立った方です。
嫌われる勇気」という本の中で「なぜ自分のことが嫌いなのか」という章があります。
青年が哲人と対話しています。
~~~~~
哲人:あなたは、自分には長所などない。短所しかないと感じている。
青年:事実としてわたしには、長所がないからです。
哲人:違います。短所ばかりが目についてしまうのは、あなたが「自分を好きにならないでおこう」と決心したからです。
しかし、「自分を好きにならないでおこうと決心したから」という哲人の説明に青年は納得しません。
そこで、哲人は以前哲人を訪れた女子学生の事例を語ります。
哲人:彼女の悩みは赤面症でした。「人前に出ると赤面してしまう。どうしてもこの赤面を治したい」と語ります。赤面症が治ったらお付き合いしたい男性がいる。が、未だ気持ちを打ち明けられない、とのこと。
青年:女学生らしい相談ですね。意中の彼に告白するには、まず、赤面症を治さなきゃならない。
哲人:私の見立ては違います。どうして赤面症は治らないのか、それは彼女自身が「赤面症という症状を必要としている」からです。
青年:何をおっしゃるんですか。彼女は、赤面症を治してくれと言うのでしょう。
哲人:彼女にとって、一番避けたいことは何だと思います?その彼に振られてしまうことです。失恋によって「わたし」の存在や可能性を否定されてしまうことです。ところが、赤面症を持っている限り、「わたしが彼とお付き合いできないのは、この赤面症があるからだ」と考えることが出来る。告白の勇気を振り絞らずに済むし、たとえ、振られても、自分を納得させることが出来る。
青年:では、告白できずにいる自分への言い訳として、或いは彼から振られたときの保険として赤面症をこしらえていると?
哲人:端的に言うと、そうです。
青年:では、具体的にはどうするのですか?悩みを聞いて放置するのですか?
哲人:彼女は自分に自信が持てていなかった。このまま、告白してもきっと、振られるに違いない。そうなったら自分はますます自信を失い、傷ついてしまうという恐怖心があった。だから赤面症という症状を作り出した。
私にできることとしては、まずは「今の自分」を受け入れてもらい、結果がどうであっても前に踏み出す勇気を持ってもらうことです。アドラー心理学ではこうしたアプローチのことを「勇気づけ」と呼んでいます。
青年:で、「勇気づけ」の結果、彼女はどうなりました。
哲人:友達を交えてその男性と遊びに行く機会があり、最終的には彼の方から付き合って欲しい、と告白されたそうです。以後、彼女がここに相談にやってくることはありませんでした。赤面症がその後どうなったか知りませんが、おそらく必要としなくなったのでしょう。
青年:あくまで、必要としなくなったのですね。
哲人:さて、彼女の話ではなく、あなたの話に戻しましょう。あなたは自分の短所ばかりが目について「こんなひねくれた男なんて、誰も付き合いたくないだろう」と、言いましたね。
なぜ、あなたは自分が嫌いなのか、なぜ短所ばかり見つめ、自分を好きにならないでおこうとしているのか、それは、あなたが、他者から嫌われ、対人関係の中で傷つくことを過剰に恐れているから。
青年:どういうことです。
哲人:赤面症の彼女が男性から振られることを恐れていたように、あなたは他者から否定されることを恐れている。そんな事態に巻き込まれるくらいなら、最初から誰とも関わらない方がマシだと思っている。つまり、あなたの「目的」は他者との関係の中で気ずつかないことなのです。・・・そのために、自分の短所を見付け、自分のことを嫌いになり、対人関係に踏み出さない人間になってしまえばいい。
このあとで、青年は哲人の発言を認めます。
あなたは、自分を嫌いになったことはありますか。私もしばしば、あります。
中には、ずーっとご自分を嫌いだ、という方も居られますね。
自分のことは嫌いだけれど、この哲人の考え方は自分には当てはまらない、という方も居られるかもしれません。
でも、考えてみる価値はあるかもしれません。
「私にとっての赤面症は何だろう?」と。
~~~~~